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岩下さん

移住と起業、日立で出会った心強い味方たち

【プロフィール】

岩下 雅史さん(いわした・まさし アドヴァン株式会社)

保険会社の法人営業職を経て、 2014年に妻の実家がある日立市へ移住・起業。日立地区産業支援センターでの創業支援を受けた。2021年までマイクロ・クリエイション・オフィスに入居。現在は海外への輸出業の他、運送事業、イベントの企画設営事業を展開中。最近では、ミャンマーで焼酎を醸造・販売する試みもスタートした。プライベートでは一児の父。

自らの会社を起こすタイミングで日立市へ移住した岩下さん。新生活は、豊かな自然と穏やかな街の中で順調にスタートしますが、時に経営者は孤独だと感じる事もあったのだとか。そんな時、小さな手続きの疑問から会社の経営プランまで、なんでも相談できる専門家に出会ったといいます。日立市の創業支援とその活用方法についてうかがいました。

ここを子どもの「地元」にしたい。日立市での起業を決意。

ー岩下さんは、自身の起業をきっかけに移住されたとお聞きしました。日立市へやってきた経緯を教えてください。

私が福島県いわき市から移住した2014年は、ちょうど子育てがはじまるタイミングで、前職を辞めて起業をした年でもあります。日立市は妻の実家がある場所で、自然が多く温暖で過ごしやすい土地だと常々感じていたので、ここで事務所を構え子育てをすることに決めました。

これは私の子どもの頃の思い出ですが、私の父はいわゆる転勤族で、幼少の自分には地元と呼べる場所が無く寂しい気持ちがありました。私の前職もまた転勤の多い仕事だったため、生まれてくる子どもには「自分が根付く地元」を作ってあげたいという思いもありました。

実は孤独な経営者。日立には心強い味方がいる

ー日立市移住後は、日立地区産業支援センター(HITS)を活用しているそうですね。どのようなシーンで利用されていますか?  

私は現在、主に海外への輸出関連の貿易と運送事業、国内でのイベントの企画設営などの事業を行っています。移住後、2017年に現在の事業をはじめる際に日立地区産業支援センター(以下HITS)を知り、以降、経営や事業プランに関する相談をさせていただいています。

事業を行うにあたっては、会社の経営以外にも行政手続きや届出など何かと必要な処理が多いのですが、HITSは市の施設であるため、必要な手続きを行政の部門を横断して案内してもらえるのがとても助かっています。特に創業期はやるべきことが山積みなので、小さなことでも気軽に相談に乗ってもらえるのはとても心強いことです。

日立地区産業支援センター(HITS)
国の特定産業集積活性化法の指定を受けて整備された地域産業の高度化を支援する中核的拠点施設。
人材育成やアドバイザーの派遣、創業支援など事業者に対し様々な支援活動を実施。

ーHITSを利用して印象に残っていることはありますか?

HITSには、専門性の高いコーディネーターが在籍しているため、相談する経営者の事業や相談内容に応じてそれぞれの得意分野からアドバイスを得ることができます。

例えば、私は数年前にミャンマーでのアルコールの醸造と販売の事業をスタートしたのですが、当初現地の内陸輸送の手段を確保することが課題でした。海外での事業が長いとは言え現地の協力会社を探すのは簡単なことではありませんから。

そんな時に、取引先を紹介してくださったのも海外33カ国で開発の仕事をされていた経歴を持つHITSのコーディネーターでした。HITSで相談に乗ってくださるコーディネーターのみなさんは、それぞれの分野で実務経験が豊富な方ばかりなので、困った時に実践的な助言があるのが良いですね。

ー2021年まで、HITS敷地内のマイクロ・クリエイション・オフィス(MCO)に事務所を構えていたそうですね。MCOについても教えてください。

2021年まで、3年間事務所を構えていたマイクロ・クリエイション・オフィス(以下MCO)は、HITSの紹介で入居を決めました。MCOは日立市が運営する起業創業支援のための施設で、創業期の経営者が月額25,200円からオフィスをレンタルできます。HITSの敷地内にある施設なので、私の場合はよく建物を行き来して相談をしていましたね。

実は、私は移住からすこし間を置いてMCOに入居したので、もう少し早めに入居できていたらと思うこともあるくらいです。時に経営者はひとりになりやすいので、MCOのような他の事業経営者とも交流できる環境は得難いものです。

マイクロ・クリエイション・オフィス(MCO)
新規事業の立ち上げや、既存企業の第二創業を支援するためのインキュベーション(創業支援)施設。良好なオフィス環境をリーズナブルに提供するだけではなく、茨城大学や地域中小企業等とのマッチングサポートなど、製品やサービスの共同開発から実務的な業務の提携まで、同業・異業を問わず、自社に足りないリソース(資源)を補う出会いや交流を提供。センターに常駐しているインキュベーションマネージャー(起業や事業活動の手助けをする支援担当者)を中心に事業活動の相談や支援を行い、事業の基盤を早期に築き、より確実に事業化できるようサポート。

マイクロ クリエイション オフィス(オフィスレンタル)
新規にビジネスを立ち上げ後、自立するまでの期間を快適で安価なオフィス環境と充実したサポート体制でバックアップ。

創業準備デスク(シェアオフィス)
これから起業される方や起業して間もない方に最適。創業に関する相談や支援サービスも受けることが出来る。

ー現在もHITSやMCOとの関わりはあるのでしょうか?

事務所として使用していたMCOを2021年に「卒業」し、現在は、主に自宅で仕事をしていますが、MCOの会議室を、オンラインの打ち合わせの際にレンタルすることがあります。最近はオンライン会議の機会が増えて、自宅だと時間帯によっては環境が確保できない時もあるので、そんな時に活用しています。

また、HITSではMCOの元入居者向けに相談会が開催されているので、私の場合月1回は参加するようにしています。「相談会」と言っても、事業の相談に限らず、経営者が活用できる新しい制度や補助金について教えてもらえる機会でもあるので、最新情報を得るのに最適です。昨年は、コロナ禍の影響により事業再構築補助金の採択を受けたのですが、その補助金も相談会で知り、書類作成までサポートしてもらいました。

定期的に顔を合わせて良い関係が築けると、経営や事業に関しても「小さな悩み」のうちにに対処が見つかるのが良いですね。

日立での「良い関係」は続く

日立で過ごす家族との時間

ー岩下さんはプライベートでは一児の父ですが、家族とのお気に入りの過ごし方を教えてください。

日立にやってきてからは、海がとても身近になったので家族で海水浴やキャンプを楽しんでいます。私の自宅からは、少し歩くだけで海に降りられるので息子とよく釣りをします。自宅で仕事をしていると、仕事終わりにも子どもとの時間が取れるのが嬉しいですね。

起業するなら、相談できる環境に飛び込んで

ー最後にこれから起業を考えている方へ、先輩経営者としてアドバイスをお願いします。

まずは創業前に、誰かに話を聞いてもらうことをおすすめします。日立市での起業を予定しているのなら、ぜひHITSへ相談に行ってみてください。話をすることで、自分の考えの整理ができますし、第3者の俯瞰した意見を事業開始前に聞くことができるのは大きなプラスになるはずです。

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